【海難1890】ひさびさに心に沁みる映画だった
【作品情報】
ジャンル:ドラマ
監督:田中光敏
脚本:小松江里子
音楽:大島ミチル
製作国:トルコ/日本
上映時間:132分
製作年度:2015年
【あらすじ】
1890年、和歌山県串本町沖。後のトルコであるオスマン帝国の親善使節団を乗せた軍艦エルトゥールルが座礁して大破、海に投げ出された乗組員500名以上が暴風雨で命を落とす。そうした過酷な状況下で、元紀州藩士の医師・田村元貞(内野聖陽)やその助手を務めるハル(忽那汐里)ら、地元住民が懸命の救援活動に乗り出す。イラン・イラク戦争中の1985年、日本政府は危機的状況を理由に在イラン日本人の救出を断念。そんな中、トルコ政府は彼らのためにある行動を取る。(シネマトゥデイより)
【感想】
日本とトルコの友好25年を記念して制作された映画らしい。
トルコが親日国だって言う事も過去に日本の近海で海難事故が起こっていた事も、イラン・イラク戦争の時にトルコの人たちが日本人を助けてくれた事をこの映画を見るまで知らなかった。
過去に起きた事をこうやって映画にしてくれるのって凄くありがたいなって思う。
この映画を観ていなかったらずっと知らないままだったと思う。
トルコの人たちを人種とか関係なく助けた人たちと同じ日本人であることに誇りを感じるし、トルコの人たちにはすごく感謝を伝えたいと思った。
オスマン帝国は大日本帝国に親善使節団を派遣することになり、老朽化がすすむエルトゥールル号で日本へ航海に出た。
エルトゥールル号にはムスタファ機関大尉他600名以上の船員が乗船していた。
無事に日本に到着し天皇陛下に謁見を果たし、その後オスマン帝国に戻る途中台風が直撃して鳥取県の近郊で船が座礁してしまう。
そして、紀伊大島に座礁した船や乗員が流れ着き、そこに住んでいた日本人たちが必死に救助活動を続けた。
600名あまりの乗員が乗っていたけど、助かったのは69名だった。
航海中にムスタファは機関室にいるベギール兵曹と友情を結んでいた。
そしてベギールは航海中に妻が男の子を無事生んだ事を知る。
エルトゥールル号が沈没した時に水蒸気爆発が起こり、ベギールは亡くなってしまいムスタファは一度呼吸が止まったけど息を吹き返した。
エルトゥールル号が沈没する少し前からもう号泣だった。
日本で買って家族に渡すつもりだったお土産を泣く泣く火にくべなくてはいけなくなり、泣きながら日本人形を火の中に入れるシーンは本当に辛かった。
ムスタファを機関室でベギールと一緒にいたけど、水蒸気爆発の危険がある事を船員に伝えてくれとベギールと機関室の船員に言われ退船しろと船の中を走り回り、その途中に機関室が爆発してしまう。
ベギールとムスタファの友情とベギールが死を覚悟してムスタファを機関室から出すところもヤバくて号泣した。
船の爆発音で外に出て海の方へ行くと海岸に大勢の人たちが打ち上げられている状況を目の当たりにする。
そして村の男達は生存者を助け建物に運び始める。女たちは村医者の指示のもと怪我をしている人たちの救助をすることに。
人種も何も関係ない、遭難している人は誰であろうが助けるって言う村の若い衆たちが本当にかっこ良かった。
食べ物が少ない村で生存者のために鶏を絞めたり、あまりお金がない中亡くなった人たちのために棺桶を用意したり。本当に感動した。
助けた後も流れ着いた遺留品を綺麗に洗い、破れている衣服も綺麗に繕ったり。
遺族に返したとき血の跡や泥を見て悲しまないようにという配慮だったことにまた感動した。
1985年にイラン・イラク戦争が激化して48時間後にイラン上空を飛ぶ飛行機を無差別で攻撃すると言う声明がフセインから発せられた。
テヘランにはまだ300名ほどの日本人がいたが、自衛隊は国の承認がかかると言う理由で、全日空は空路の安全が保障されないという理由で救援機が飛ばないと言う状況になってしまう。
ダメもとで日本大使館はトルコの大使館に救援期に日本人も乗せてくれないかと頼んだ。
トルコの首相はその救援を受け入れて日本人のために救援機を手配してくれた。
最初はテヘランにいるトルコ人たちは日本人が乗る事を反対していたけど、トルコ大使館の青年に説得され日本人を救援機に乗せてくれた。乗れなかったトルコ人は陸路で母国へ向かう事に。
1985年にこんな事があったなんて本当に知らなかった。
トルコの人たちに感謝したいと思ったとともに日本政府つかえねーって思った。
爆撃とかされているテヘランに日本人が多くいるっていうのに国会で承認されなければ救援機が飛ばせないとかお役所仕事にすごくイラっとした。
政府には政府のやり方とか理由とかあるんだろうけど、一国民として感情移入して観ちゃうから政府が日本人を見捨てたという気持ちにしかならなかった。
48時間以内に助けに行かなければいけないんだからそこは臨機応変に対応してよ政府って思った。
この映画には良い人しか出てこない。
海難事故でめちゃくちゃ嫌な医者だなって思っていた工藤医師が協力してくれた時は「おぉ!!」ってなった。
遭難したトルコの人たちにとり肉を渡したけど、そのトルコ人が子どもと分け合って食べるシーンとか。
ジーンとなる場面がめちゃくちゃ多かった。
本当に感動する映画だった。