【怒り】登場人物それぞれの怒りが交錯する複雑な映画
【作品情報】
ジャンル:サスペンス
監督:李相日
原作:吉田修一
脚本:李相日
音楽:坂本龍一
製作国:日本
上映時間:141分
製作年度:2016年
【あらすじ】
八王子で起きた凄惨(せいさん)な殺人事件の現場には「怒」の血文字が残され、事件から1年が経過しても未解決のままだった。洋平(渡辺謙)と娘の愛子(宮崎あおい)が暮らす千葉の漁港で田代(松山ケンイチ)と名乗る青年が働き始め、やがて彼は愛子と恋仲になる。洋平は娘の幸せを願うも前歴不詳の田代の素性に不安を抱いていた折り、ニュースで報じられる八王子の殺人事件の続報に目が留まり……。(シネマトゥデイより)
【感想】
重い映画だったー。特に沖縄編が・・・。
千葉編は何だかんだで最後に救いがあったから良かったけど、東京編は悲しい結末だったし沖縄編はもうやるせないというかなんというか・・・。
八王子で起きた殺人事件の犯人かも知れない3人の男とそれを取り巻く環境が複雑に絡み合っていてサスペンスとしても面白かったし、人間模様も複雑で最後まで目の離せない映画だった。
①千葉篇
港町に住む洋平には一人娘がおり、娘の愛子は家出をして歌舞伎町で風俗嬢をしていた。
愛子は洋平に千葉にある自宅に連れ戻されて平和な日常を送り始める。
そこで愛子は父親の元で働き始めたアルバイトの田代と知り合い、次第に二人は引かれていくが八王子の事件の犯人のモンタージュ写真がテレビで公開されたことによって田代とその周辺の人間たちの関係が変わり始めてしまう・・・。
愛子と田代は同棲を始めたり幸せな日常を過ごしていたんだけど、田代の素性がはっきりしないしモンタージュ写真も放送されちゃうしで洋平も愛子も田代のことを疑い始めてしまって挙句に警察に通報してしまう。
限りなく黒に近いなと思ったけど、最後にはとりあえずハッピーエンドに向かっていく感じで良かった。
②東京篇
ゲイの優馬がハッテン場で出会った男直人。
二人は関係を持ち直人は優馬のマンションに居候をしはじめる。
直人もまた素性の知れない男で仕事もしてないし携帯も持っていないし経歴が全く分からず・・・。
そんな直人もモンタージュ写真に何処となく似ていて、しかも犯人の顔にあるホクロと同じ位置にホクロがあったことで優馬は直人のことを疑い始めてしまう。
しかもゲイ仲間のうちに空き巣が多発していて手口が一緒ということでさらに直人への疑惑が深まってしまう・・・。
東京編は悲しいラストだった・・・。
直人は自分のことを全然話さないし、カフェで優馬の知らない女性と内緒で会ったりしていて怪しく見えたけど理由があり結末がただただ悲しかった。
③沖縄篇
沖縄の無人島に突如やってきた謎の男田中。
この無人島にしょっちゅう遊びにいっていた泉と辰哉は田中と話をすしていくうちに打ち解けていく。
泉と辰哉は本島へ遊びに行き、そこで田中と偶然出会い3人で居酒屋へ。
辰哉は泡盛を飲んで酔いつぶれてしまい、泉と辰哉は最終フェリーがあると言うことで田中と別れてフェリー乗り場へ向かおうとするけど辰哉は酔っ払ってどこかへ行ってしまう。
辰哉を探して夜道を歩いていた泉は米兵たちが要るところへ出てしまい、公園で米兵二人にレイプされてしまう・・・。
この時点でもうやりきれない気持ちに・・・。
この事件がきっかけで泉だけでなく、辰哉も自分を責め田中も助けてやれなかったと悔い悩んでいく3人だったけど、結末がさらにやりきれない終わり方だった・・・。
田中が本当にクソだった・・・。
3人の謎の男がどれも怪しく見えて誰が八王子の犯人なのか最後まで分からずサスペンス映画としてもすごく楽しめた。
終盤で愛子が号泣するシーンがあったんだけど、泣き方がすさまじくて鳥肌がたった。
広瀬すずは体当たり演技っていうのか、米兵たちに襲われるシーンがリアルですごく悲痛で見ていられなかったし、最後に怒りを露にするシーンもすごかった。